母の催眠体験

「神世界」というヒーリングサロンが摘発され、メディアを賑わせていた頃、
ヒプノスクールに通っていた私に、
「あんたも変な宗教にはまって大金をつぎ込んでるんじゃないの?
レイキなんていうヒーリングもやってたし」と言い始め、
千葉に住んでいる姉にも相談したり、ひとりで大騒ぎをしていた母が、

「私も催眠やってみるわ」

と言い出しました。

今までも、催眠への誤解を解こうと、「やってみればわかるから」と
再三誘っていたときは、「そんなのしたくない!」と強固に拒んでいたのに、
自ら言い出すとは…。


【母の幼児期退行】
T:(催眠状態に誘導)…小さかった頃の楽しかった場面にいきますよ。
  何か見える?

C:何も見えません…。
  あっ、家の外にいます。何をするともなく居ます。

T:何歳ですか?

C:7歳です。

T:家の中に入ってみましょう。誰かいますか?

C:下のきょうだいが二人。

T:お母さんはいますか?

C:いません。畑に行っています。
  …あっ、裏口から帰ってきて、足を洗っています。

T:お母さんはどんな人ですか?

C:働き者。やさしい。

T:お母さんはあなたを愛してくれてる?

C:(うれしそうな表情で)はい。抱っこしてくれます。

T:お母さん(他界しています)に言いたいこと、伝いたいことはありますか?

C:(うなずきながら)何の親孝行もできなくてごめんね。(号泣)

T:それを聞いてお母さんはなんて言ってる?

C:笑って、「ありがとう」って。

T:そう、よかったね。お母さんに伝わったよ。

C:(泣きながら)うん、うん。

(しばらくこの感情を感じてもらう)

T:お父さんは?

C:仕事に行っています。

T:お父さんが帰ってくるところまで、時間を進めていきますよ。
  どんな感じ?

C:お父さん、帰ってきて、私とお風呂に入ってくれています。

T:お父さんはあなたを愛してくれてる?

C:はい。いつも一緒に寝てくれて、お風呂も一緒です。
  
T:お父さんに言いたいことある?

C:頭が良くて、偉い役職に就いているので、何不自由ない生活をさせてもらえて…。
  ありがたかった。でも、39歳で早死にしたから…。

T:じゃあ、お父さんに39年の人生はどうだったか聞いてみたら?

C:「しあわせだった」って。
  仕事も…子どもたちをかわいがることが出来て、しあわせだったって。(号泣)

T:よかったね。大切に育ててもらっていたんだね。
  お父さんにもお母さんにも愛された宝物の時間が、
  あなたの人生の中に確かにあったんだね。
  このお父さんとお母さんときょうだいとのしあわせな時間をもっと味わって。
  どんな気持ち?

C:しあわせ。

T:そう、しあわせな気持ちなんだね。じゃあ、このしあわせな気持ちをもっと感じていきましょう。

(ここで、このポジティブな気持ちを現在にもってくるヒプノのテクニックを使う)

T:では今度は小さかったときのつらかった場面に行くよ。
  どうなってる?

C:(顔が歪んで、泣き出す)15歳。作業服を着ています。

T:じゃあ、仕事場なのかな?

C:わかりません。

T:今、どんな気持ち?

C:仕事がつらい。でも、父親が亡くなって、下のきょうだいを私が養わなければならないから…。

T:学校は?

C:女学校に進学する予定だったけど、行けなくなったので、母親が学校にそのことを伝えました。

T:15歳で、作業服を着て、きょうだいのために一生懸命働いているんだね。

C:「(泣きながら、何度もうなずく)

T:お母さんはそのことどう思ってる?

C:子どもを働かせなければならないなんて、不甲斐ないと思っています。


(感情を十分に感じ、出来事のとらえ方を変えるテクニックを使って癒していく。
そして、インナーチャイルドとの出会いの場面をつくる)

T:15歳のあなたは、どんな表情をしている?

C:つらそうな顔。

T:今のあなたが15歳のあなたに言いたいことがあったら伝えていいよ。

C:よくがんばったね。(泣く)

T:15歳のあなたに、
  「今まで一人にしてごめんね。あなたのつらかった気持ち、私はわかってるから」っていってあげて。

C:「ちゃんと、わかってるよ」

T:「あなたが働いてきてくれたお陰で、たくさんの人をしあわせにしてあげられたんだよ。
  あなたのつらかった気持ちや体験は、ちゃんと人のためになって、生きたんだよ」って伝えていいよ。

C:(うなずきながら、号泣)「もう一人にしないから、また会いに来るから」


その後、母のインナーチャイルドは癒されて、笑顔で帰って行きました。


催眠から覚めてもなお、あふれてくる涙をふきながら、
「親に会えてよかった」としみじみ言いました。

翌日、小さい頃の楽しかった記憶が次々出てきたようで、
たくさん話して聞かせてくれました。

今まで、苦労話しか聞いたことがなかったので、
聞く方の私も、驚きとほのぼのとした気持ちが混じったような感覚で聞きました。

そして、15歳で作業服を着て働く母親の姿を思い浮かべたら、
私もまた、涙があふれてきました。

中島先生のヒプノスクールは、
クライアントと一緒に感情を味わっていくので、
こちらも一緒に泣きながらセラピーをすることになるのですが、
終わってからも泣くのは、あまりないことです。
自分の時くらいですね。

以前は親を愛すことが出来なくて、批判ばかりしていましたが、
母の人生に触れ、苦労を知ることで、
母に対してというよりも、同じ人間同士として、
「お互い苦労はあるけど、一緒に生きていこうね」という気持ちが
心の深いところから、泉のようにわき上がってきました。

人を癒すことは自分を癒すことにもなるんだな~と
ヒプノの奥深さをさらに感じたセッションでした。

そして、何歳であっても、懐疑的であっても、すぐに催眠状態に入り、
順調にセッションが進んだことは、セラピストとしての自信につながりました。
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by tarakosun | 2008-05-31 15:37

催眠療法で人生を癒す、ヒプノセラピストのココロの旅日記